3月31日特集記事: 横浜ビブレ期間限定 ポップアップストアを振り返る
社長が約1ヵ月武器商人に!
横浜ビブレ期間限定
ポップアップストアを振り返る
2022年12月から翌年1月にかけて、当社オリジナル武器造形ブランド「TAKUMIARMORY」の出店をしました。イベント以外の販売も長期間の出店も初の試み。そもそものきっかけやチャレンジへの手応え、社長が1ヵ月会社を空けたことによる社内への影響など…当時の裏話をこちらにまとめました。
結論:やってみてよかった
初めてだらけの挑戦で不安はたくさんありましたが、むちゃくちゃ良かったです。
初見の方から「なにこいつ?」って距離をおかれると思っていたんですが、
お客さん「うわ!なにこの店!「何屋さんですか?」
僕「武器屋です」
お客さん「武器屋さんって初めて聞いたー!(笑)」
僕「見てください、剣ですよ(そっと武器を出す)」
お客さん「ほんとに武器屋さんだ!(笑)」
といった感じで、気さくに近寄ってくれて、ウェルカムに受け入れてくれました。とても反応が良かったです。
また、当社をご存じで「お!関東に来るんだ!」と、埼玉や栃木、東京、遠い所では岩手や名古屋から足を運ばれる方が多くいらっしゃいました。
「兵庫に行きたかったけど距離があってなかなか行けなかったんです。横浜なら圧倒的に近いから来ました!」と言ってもらえたのが嬉しかったです。過去に出展したデザフェスやワンフェスなどからの出会いが繋がった感じがしました。
ビブレの館長もすごく好きになってくれて嬉しかったです。
イベントでの出会いから始まった横浜出店
ポップアップストアが実現したのは、イベントでOPAの奥田さんと出会ったのがきっかけでした。ファンタジー武器屋を出していたレジャージャパンという展示会で、たまたま前を通りかかり「ゲームの中の世界観のクオリティの出し方がめちゃくちゃ上手い!」「飾ってある剣の一本一本の仕上がりもすごい!」と声をかけてくださいました。また「OPAやビブレの空きテナントを利用して出店出来きますか?」と、質問をいただきました。
その場では「出来ますよー」と返事して「また連絡させてもらいますー」という風にやり取りを終えました。数か月後に来社いただくも、打ち合わせと重なってしまって会えないといったすれ違いもありながら、改めてお電話をいただきました。
「出店してもらえませんか?」という内容でした。
こちらは数日間のイベント出展の感覚で「いいですよー。いつ頃ですか?」とお聞きしたら「いや、出来ればテナントとしてずっと入ってほしいんです」と驚きのお話が!
まさかの常設希望に「えーっ!?」ってなりました!
心の準備はもちろん、常駐できるスタッフも固定店舗の経験もありません。
「やろうと思ったら出来るかもしれないけど、今の状況でずっとは無理。でも短期間なら僕が行ってオープン出来るかな…」と思いがよぎりました。
奥田さん「出来る最長は何日間ですか?」
僕「1週間くらいですかね?」
奥田さん「2か月は無理ですか?」
前向きな気持ちと不安要素とを整理できていなかったので、そこでいったん考えさせてほしいと電話を切りました。
1週間悩みに悩んで「3週間出店できる」とお答えしました。
それからとんとん拍子に話が進み、2か月もたたない年末から出展することになりました。
予期せぬタイミングで達成目前となった目標
武器屋をお店として成立させる―それは僕が10年前から掲げていた目標のひとつでした。場所や時期など具体的に明確なものはなかったのですが、店として出せたらいいなと思っていました。「いつか武器屋さんとして色んな武器屋アイテムを揃えてやりたいな」と。
当時はまだファイヤードレークソード一本しかなかったので遠い夢の話でした。
奥田さんが希望する2カ月には満たない3週間となったものの、思わぬタイミングでやってきた目標を前に「断る」という選択肢はありませんでした。
ぬぐい切れない2つの不安と出店決意
「ずっと」と言われた時は驚いた、というよりビビりました。そこに経験がなかったので。今まではフィギュアやものづくりなど来場する方の目的や、ファンタジーが好きという嗜好が前提だったため、受け入れられる自信がありました。でも、今回は全く違う。一般商業施設、それもファッションメインのビルの中にファンタジー武器屋を出すなんて、考えもしませんでした。そして、普通に服を買いに来た人からどう反応されるか。全く未知数であり不安でした。
一般向けといえば、昨年初めて「匠工芸展」という当社だけの展示イベントを1か月開催したのですが、それは匠工芸やファンタジー武器屋を知っていたり地元の方が主な来場者だったりと、不安こそなくはないものの「買い物客相手に受け入れられるのかどうか」ほど読めないものではありませんでした。
もうひとつの不安としては体力の問題がありました。当時開催を終えたばかりの匠工芸展で精神と体力を使い切っており、人生一頑張ったかも、やっと少しゆっくり出来ると思っていた矢先だったので・・・。あの時期にイエスというのは勇気がいりました。
受けたとして、1ヵ月体力がもつか、体を壊して迷惑をかけないかが不安でした。
ですが、奥田さんの言葉は僕の夢そのもので「これを断ったら人生のチャンスがつかめなくなる」と思って決意しました。
今まで何をするにも素早く決断できていたのですが、珍しく悩みに悩みました。それほど匠工芸展の存在が人生の中で表現したい想いやプレッシャーが大きくて疲弊しきっていたんです。予定外で予想外のお声がけにビックリしたのもあります。
横浜ビブレという場所
日程が決まった後、横浜ビブレでの出店を教えてもらいました。
奥田さんは「ファンタジー武器屋をするなら横浜が一番合うと思うんです。」と全国のOPAとビブレの中から選んでくれたのです。僕はまだイメージが湧かなかったので、視察に行かせてもらいました。周りがロリータやゴシックの服屋さんと聞いてはいたのですが、完全にレディースフロア。男性向けはありませんでした。
「ここの中に武器屋が入るのか、ほほう。」と意表を突かれました。
当時の僕には理解できていませんでしたが、奥田さんはここが最適だと判断してピースをはめ込んでくれていたんです。センスがバツグンです。
店づくりとアプローチ
いつもの感じか新しい方向性か…どんな武器ならヒットするかを考えました。
用意された店舗は3階で一番奥の角で見えにくい場所。出店予定の場所に30分ぐらい立って観察しました。すると、ゴシックやロリータの服を着た綺麗な人たちが歩いていたのを見て「ここで写真撮れるよって声をかけよう」と思ったんです。お気に入りの服を着て写真無料で撮れたら喜んでくれるのではないかと。
おしゃれで洗練されたお店と張り合わず、違うことをしようと考えました。で、一番目立つところに魔法陣をドーンと置くことにしました。なんせやったことがない出店計画だったので、売れなかったら売れなかったでいい。ロリータの服を着た子が「剣をください!」と武器を買ってくれるとも思えないので・・・。
売上よりも喜んでもらうことを優先しました。売れなくても利益が出なくてもいいから、とにかく喜んでもらうことに全振りしよう!
疲れが残っていたけど、ここで手を抜いたらチャンスを逃すような気がして、どれだけ辛くても最初に掲げた目標をやり切ろうと決めて、お客さんみんなに声をかけ、写真を撮り続ける日々が続きました。すると予想以上に武器は好評。おかげさまで年内に目標を突破しました。
受け入れられた実感
たまたま匠工芸を知った方は全体の約30%。初めて知ったのに
お客さん「おもしろい」「何屋さん!?なんですか?」
僕「武器屋さんですよ」
お客さん(大爆笑)「おもしろーい!いいもん見せてもらったー」
と、お土産で魔法陣コースターや大人気のロミニングカトラスを購入してくれる方もいらっしゃいました。それどころか3万5千円のムーンライトまで!
「僕でもそこまでようせんわ!」と思うような買い物もありました。
お客さん「買います」
僕「1万2千円やで?」
お客さん「はい。買います。」
そんなやり取りが何度もありました。
商業施設でイベントでもないのに、受け入れられたことは本当に嬉しかったです。
そもそも、お買い物に行って「剣を買わなくちゃ」ってならないでしょ?それなのに買ってくれるんです。プラスチック製だから切ることもできないのにね。
興奮しました。「ほんまに!?」って。
TAKUMIARMORYを知っていて価値を分かってくれている人ならまだしも、さっき初めて存在を知って3万円だすかーって感じですよね。いやーびっくりしました。
会社に関しては、副社長をメインに「出来るメンバーやな」って改めて知れてよかったです。15回も宅配便を送ってもらったのは想定外でした。みんなありがとうね。
体調をくずさないか心配だったけど、なんとかいけた。大丈夫だった(笑)
匠工芸として初めてのアプローチでしたが、大成功でした。また機会があれば挑戦したいです。
スタッフの感想
デザイン担当 ゆたかさん
てんやわんやでした。
「今日はこのグッズが足りない」と、急に連絡がくる。そのたびに「今日は何つくらなあかん」って工場にいってレーザー使って作って…
ほぼ毎日「今日は〇〇が足りんかなー」って出勤していました。社長が居なくて通常業務が大変というよりも、追加制作に追われる毎日でした。一週間ごとにある程度の追加は来るだろうと予測はしていたけど、ここまで毎日追加追加とは…想定外でした。
制作担当 かわばたさん
大盛況だったおかげで「明日までに剣1本」といった連絡が次から次へと来るので毎日めっちゃ忙しかったです。関東でこんなに武器が売れるんだと感動しましたね。嬉しい悲鳴です。反面どれだけ商品が売れるかわからないから予定が決められず、通常業務に支障をきたしました。スケジュール管理が難しかったです。次からは山ほど在庫を作っておこうと思います。
これだけ盛況だったのは、いつもと違う客層にリーチしたのが良かったのかなぁとみんなで話していました。
制作担当 メフィスト(仮)
即日で武器を作るのはリスケジュールしてしまえば工場的にはまわらないことはなかったです。ただ、折井さんがいない匠工芸は匠工芸じゃないなと感じました。いつも朝礼の時に見ている人が一人欠けちゃうとちょっと寂しい感はありましたね。やっぱり匠工芸は折井匠さんが会社にいてこその匠工芸だなって実感しました。
今回初めてビブレで移動販売店みたいな感じでやって意外と武器売れたから、こういう形態もありなんだと思いました。利益率にもよりますが、その辺もろもろがプラスになるのであれば、今後もこんな出張武器屋さんでたくさんの人に知ってもらうのも良いと思います。
事務兼営業兼衣装制作兼モデル兼副社長
桃井鈴
もう一人私が欲しいと思いました。
ただ、有難いことに全部信頼してもらって社長が裁量権だとか決定権を全部任せてくれて、私に迷いがなければ決めていいよと言ってくれていたんです。迷ったら相談するけどそうでなければ進めていいという環境は、すごく仕事がしやすかったです。
あと、折井さんがいないことで他の従業員がちょっとしっかりした姿が垣間見れて良かったです。ちょっと成長したと思います。工場長が顕著で、折井さんがいないと現場の頭は自分がしないといけないとか、私が仕様のことで迷ったら自分に相談くるからと心構えをしてくれていて、いつも以上に話しやすく頼りになりました。
豊さんは弱ってました。(笑)月曜の出勤は作るものがいっぱいあるので「いっぱい作るものありますよね・・・」と月曜の出勤が暗かった。事務所は私が抜けると一人になるので本当に大変だったと思いますが、見ていてちょっと面白かったです。
「任せてもらうからにはどうにもならへんことは起きへん」と思っているし、どうにかするつもりでいたので、問題は全くなかったです。
新しい形態でおもしろいなと感じたことが、あぁこのまま折井さん一年を通じて移動武器商人になっていくんかなと思ったことです。そうなった時にここを守るのは私でもいいと思って、それでもこの会社って折井匠のしたいことをみんなで形にすること。折井さんのしたいことって、みんなを楽しませたりとか、困っている人を助けたりすること。それをみんなでやる。折井さん一人でも出来るけど、すそ野を広げるためにみんながいる。折井さん武器ばかりやって看板誰もしなかったら、看板屋辞めたんやって思われちゃう。看板屋も全力で守りながら武器屋さんの知名度を上げていく。それはすごいいい形やなって思いました。
それが完全に分業できるまで・・・私入社から丸5年いるんですけど、今回任せてもらえるまでの5年でよく育ててもらえたなって思って「ありがとう」と伝えました。
基本的にずっと一緒に行動してきて・・・具体例をあげると、同じ業者さんからそれぞれに見積もり依頼がきたことがあったのですが、別々に回答したのを後で知ったんです。その金額全く一緒だったということがありました。匠工芸にくる案件は型にはまらないものが多いので見積りが多いけど、感覚がそこまで似てきているというのは育ててもらっている教えが的確だったから、判断力が折井さんに近づいてきているんだと思います。長期不在でも滞りなくまわったのはこれまでの教育のたまものだと思います。
会社をまるっと任せてもらえて、一人で実践する機会なんて会社ではなかなかないと思うんです。そういう機会をもらえたと思うと、忙しかったし目まぐるしかったけど、良い一か月やったなって思います。
私は楽しかったです。会社するってこういうことなんだ。常に俯瞰で色々見ておかないといけないんだねっていうことをこんなに長い期間体験できてほんとに良かった。
この一か月に負の感情は全くないです。
帰ってきたら「私のお陰でこの会社もっとんじゃい!」って言ってやろうと思いました!そしてちゃんと伝えました!!!
嬉しいことに、横浜ビブレ2回目の開催が終わり、現在東京での出店のお話を頂いております。
6月10日追記
東京での武器屋出店は下記の通りです。勇者のお越しをお待ちしております!
開催場所:
MAGNET by SHIBUYA109
5F(シゲキの遭遇フロア)
期 間:
6/16(金) ~ 8/27(日)
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連絡先:匠工芸
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